第4回 もしもの時に慌てない!肉離れの正しい応急処置と回復までの道のり
これまでのブログ記事では、9月の気候や生活環境が肉離れのリスクを高めることについて解説してきました。どんなに予防に努めても、スポーツや日常生活で肉離れが起きてしまう可能性はゼロではありません。
「パンッ!」という激しい音と同時に走る激痛、そして動かせなくなる身体。いざその時が来たら、誰もが慌ててしまうものです。しかし、肉離れの回復を早め、後遺症を残さないためには、「発症直後の対応」が何よりも重要になります。
今回は、万が一肉離れが起きてしまった場合に、皆さんが冷静に対処できるよう、正しい応急処置の方法から、その後の回復までの道のりについて、詳しくお伝えします。
肉離れ発生!まずは「RICE処置」で初期対応を
肉離れは、筋肉の線維が切れたり、損傷したりする怪我です。放置すると炎症が広がり、回復が遅れてしまうため、直後から適切な応急処置を行うことが極めて重要です。その基本となるのが、スポーツの現場でも広く用いられる「RICE(ライス)処置」です。
R. Rest(安静)
怪我をした部位を動かさず、安静に保つことが第一です。無理に立ち上がったり、歩こうとしたりすると、筋肉の損傷がさらに悪化してしまいます。痛みがある場合は、その場で座り込むか、横になり、安全な姿勢をとりましょう。
I. Ice(冷却)
患部を氷や保冷剤で冷やし、内出血や炎症の拡大を防ぎます。冷やしすぎは凍傷の原因になるため、タオルや布を挟んで15~20分を目安に行い、感覚が戻ってきたら再度冷やす、というサイクルを繰り返しましょう。
C. Compression(圧迫)
患部を弾性包帯などで適度に圧迫し、腫れや内出血を抑えます。圧迫しすぎると血流が悪くなるため、指先が痺れたり、冷たくなったりしないように注意が必要です。
E. Elevation(挙上)
患部を心臓より高い位置に上げます。これにより、重力を使って血流を患部から心臓に戻し、腫れや内出血を抑える効果が期待できます。
【注意点】
これらの応急処置は、あくまで初期対応です。RICE処置を行ったからといって、そのまま放置せず、必ず医師の診察診断を受けるようにしてください。
なぜ、すぐに病院に受診すべきなのか?
「ちょっと痛いだけだから、様子を見よう」と自己判断してしまう方は少なくありません。しかし、肉離れは軽度から重度まで3段階に分類され、その後の治療やリハビリ方法が大きく異なります。
- 軽度(I度) 筋肉のごく一部の線維が損傷している状態
- 中度(II度) 筋肉の線維が部分的に断裂している状態
- 重度(III度) 筋肉が完全に断裂している状態
重度の肉離れの場合、手術が必要になるケースもあります。また、軽度だと思っても、筋肉内に血腫(血の塊)ができている場合があり、放置すると後遺症や再発の原因となることも。
医師は、触診やエコー(超音波)検査などで、肉離れの程度を正確に診断することができます。正しい診断が、適切な治療と回復への最短ルートを導き出す鍵となるのです。
「安静にしすぎること」の落とし穴
「怪我をしたら絶対安静」という考えは、部分的には正しいですが、長期にわたる過剰な安静は、かえって回復を遅らせる原因になります。
- 血行不良の悪化 全く動かさないと血流が滞り、損傷した組織への酸素や栄養の供給が不足します。
- 筋肉の萎縮 筋肉を使わないと、筋力が低下し、萎縮してしまいます。これは、回復後の筋力低下や再発リスクにつながります。
- 瘢痕組織(傷跡)の形成 損傷した筋肉は、硬い瘢痕組織で修復されることがあります。この瘢痕組織は柔軟性がなく、再び肉離れを起こしやすくなります。
適切な時期に、専門家の指導のもとで「回復ケア」を開始することが、スムーズな回復と再発予防には不可欠です。
肉離れの回復を早める「専門家によるケア」
大有堂鍼灸接骨院では、肉離れの回復を全力でサポートしています。当院では、患者様一人ひとりの状態に合わせて、以下のような施術を組み合わせています。
- ハイボルテージ療法 高電圧の電気を流すことで、筋肉の深部にある痛みや炎症を素早く抑える効果が期待できます。急性期の痛みを早期に緩和し、回復を早めるために有効です。
- 全身調整 肉離れは、患部だけでなく、身体全体のバランスの乱れが原因となっていることが少なくありません。当院では、患部へのアプローチに加え、骨盤や背骨の歪みを整えることで、筋肉にかかる負担を軽減し、根本的な回復を目指します。
そして、当院が特に力を入れているのが、「ゆらし療法」です。これは、肉離れの原因である筋肉の「過緊張」を根本から取り除くための施術です。
強いマッサージとは異なり、身体の力を抜いた状態で、やさしい動きで患部やその周辺を揺らします。心地良い動きで筋肉の緊張を解除することで、血行を促進し、筋肉本来の柔軟性を取り戻していきます。これにより、回復を早めるだけでなく、再発しにくい身体へと導くことが可能になります。
大有堂鍼灸接骨院から皆さまへ
肉離れは、適切な初期対応と、その後の継続的な専門家によるケアが非常に重要な怪我です。自己判断で済ませず、まずは一度、医師の診察を受けてから回復ケアの専門家に相談してください。当院では、皆さまが一日でも早く、元の生活やスポーツに戻れるよう、心を込めてサポートさせていただきます。
どんな些細な痛みや違和感でも、お気軽にご相談ください。
次回の予告
最終回となる第5回は、「再発を繰り返さないために!9月以降も継続したい『根本ケア』の習慣」と題して、日々のセルフケアや当院の施術でできる再発予防策について解説します。どうぞお楽しみに!