第2回 秋の夜長に何度も目が覚める「中途覚醒」はなぜ起こる?心身の緊張を和らげるお灸のちから
「夜中に何度も目が覚めてしまう」「一度目が覚めるとなかなか寝付けない」といった、中途覚醒(ちゅうと かくせい)にお悩みではありませんか?
夜中に目が覚めるのは珍しいことではありませんが、それが習慣化すると睡眠の質が大きく低下し、日中の疲労感が慢性化してしまいます。
今回は、11月という季節特有の環境変化が引き起こす中途覚醒のメカニズムと、その対策として当院が行う箱灸(はこきゅう)が、腹部と腰仙部への施術を通じてどのように眠りの連続性を高め、朝までぐっすり眠ることをサポートするのかを詳しく解説します。
11月の環境変化が「中途覚醒」を招く二つの要因
11月は、単に気温が下がるだけでなく、私たちの心身のバランスに影響を及ぼす二つの大きな環境変化があります。
要因① 日照時間の減少と体内リズムの不安定化
秋が深まり、日照時間が短くなると、人間の体内のリズムを整える仕組みに影響が出始めます。
- メラトニン分泌への影響 睡眠ホルモンであるメラトニンは、朝、光を浴びることで分泌がリセットされ、夜になると自然に分泌量が増えることで眠気を誘います。日照時間の減少や不規則な生活が続くと、このリズムが乱れ、夜間に「深い眠り」を維持する力が弱くなってしまいます。
- 浅い眠りの増加 眠りのリズムが不安定になると、深い睡眠(ノンレム睡眠)が短くなり、浅い睡眠(レム睡眠)の割合が増えます。浅い眠りの状態は外部の刺激に敏感なため、ちょっとした音や体温変化で容易に目が覚めてしまう(中途覚醒)原因となります。
要因② 冷えとストレスによる「心身の過度な緊張」
11月は気温が低下し、体は熱を逃がさないように無意識に緊張しがちです。また、季節の変わり目の気候変化や年末に向けた忙しさから、心身にストレスが蓄積しやすい時期でもあります。
- 自律神経の乱れ ストレスや疲労、冷えは、休息を司る副交感神経の働きを抑制し、活動を司る交感神経を優位にし続けます。眠っているはずの夜間にも交感神経が完全に鎮まらず、脳が緊張状態にあるため、眠りが浅くなり中途覚醒につながります。
- 「夜間頻尿」の誘発 体が冷えることで、利尿作用が活発になったり、膀胱周りの筋肉が緊張したりして、夜間にトイレに起きる回数が増える(夜間頻尿)ことも中途覚醒の大きな原因です。
「中途覚醒」とは?
中途覚醒とは、「一度眠りについても、朝起きるまでの間に何度も目が覚めてしまい、その後なかなか再入眠できない状態」を指します。
- 特徴 夜中に1回以上目が覚める状態が続き、目が覚めた後に再入眠するまでに時間がかかる、または再入眠できないことで、トータルの睡眠時間が不足します。
- 日中の影響 睡眠が細切れになるため、熟眠感(ぐっすり眠れた感覚)が得られません。日中に強い疲労感やだるさ、集中力や判断力の低下といった形で現れます。
中途覚醒の改善にお灸(箱灸)が役立つ理由
中途覚醒を解消するためには、「冷えの解消」と「心身の過度な緊張を緩め、自律神経を安定させること」が不可欠です。当院の箱灸は、腹部と腰仙部を温めることで、この二つの課題に効率的にアプローチします。
理由① 腹部への深部加温で内臓の緊張と脳の興奮を鎮める
中途覚醒の原因の一つである脳や心身の過度な緊張に対して、腹部への温熱が働きかけます。
- リラックス効果 腹部に箱灸の心地よい温熱をじっくりと加えることで、自律神経のバランスを整える働きが促進されます。副交感神経が優位になり、脳の興奮状態や内臓の緊張を穏やかに鎮め、眠りの質を高める手助けをします。
- 心身の安定 心身の緊張が緩むことで、夜間に目が覚める原因となるストレス性の覚醒を防ぎ、覚醒してもすぐに再入眠しやすい状態を作ります。
理由② 腰仙部の血行促進で「夜間の冷え」と「頻尿」を対策
夜間の冷えや夜間頻尿といった物理的な原因に対しても、腰仙部への温熱が効果を発揮します。
- 冷えの徹底解消 腰仙部(腰の下側)を箱灸で温めることで、下半身全体の血液の巡りが促進されます。夜間に体温が下がっても冷え切ることを防ぎ、寒さによる体の無意識の緊張を和らげます。
- 夜間頻尿の緩和サポート この部位を温め、巡りを改善することは、体内の水分代謝や、夜間の体温維持に間接的に作用し、夜間頻尿による覚醒回数を減らすサポートにつながります。
理由③:継続的な施術で「眠りの連続性」を維持する体質へ
中途覚醒は、長年の生活習慣やストレスによる体質の偏りが原因であることが多いです。
箱灸による定期的・継続的な温熱刺激は、体の深部に作用し、自律神経の安定化と血行促進を習慣化します。これにより、夜中に目が覚めることなく、朝まで途切れずに深い眠りを維持できる体質への改善を目指します。
中途覚醒を防ぐための簡単セルフケア
お灸の施術と合わせて、ご自宅でも眠りの連続性を高める工夫を取り入れましょう。
- 夕食後のアルコール・カフェイン制限 寝る前のカフェインは覚醒作用を促します。また、アルコール(寝酒)は一時的に寝つきを良くしても、代謝の過程で眠りを浅くし、夜中の覚醒や利尿作用を促すため、就寝前は控えましょう。
- 日中の適度な活動と光浴 日中に適度な運動を行い、特に午前中に太陽の光を浴びることで、体内時計を整え、夜間のメラトニン分泌を促進し、深い眠りにつながります。
- 寝室の温度・湿度管理 11月は乾燥し、冷え込みます。寝室の温度を快適に保ち、加湿器などで湿度を適度に保つことで、喉の乾燥や寒さによる中途覚醒を防ぎやすくなります。
深い眠りを守り、朝までぐっすり
夜中に目が覚めてしまう中途覚醒は、11月の「日照時間の減少」や「冷え」「ストレス」など、複合的な要因で起こりやすくなります。
大切なのは、これらの要因で乱れた心身の緊張を解きほぐし、自律神経のバランスを整えることです。
当院の箱灸は、腹部と腰仙部を温めることで、リラックス状態を深め、冷えによる覚醒を防ぎます。眠りの連続性を高め、朝まで途切れずにぐっすり眠るための体質改善をサポートいたします。
「朝までぐっすり眠りたい」「日中の疲労感を解消したい」とお考えの方は、ぜひ一度、当院にご相談ください。
注:本記事は中途覚醒の改善を保証するものではありません。症状が重い場合は専門医にご相談ください。















