鍼施術による花粉症改善の効果とメカニズムについて解説します

花粉症は、スギやヒノキなどの花粉に対する過剰な免疫反応により、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状を引き起こすアレルギー疾患です。抗アレルギー薬の副作用として眠たくなることがあるため、自動車等の運転や業務への集中力が阻害される事が薬の服用を忌避する要因となっています。そのため、薬に頼らない代替療法として、鍼施術(はりせじゅつ)が注目されています。

鍼施術の効果

  1. 免疫機能の調整
    鍼の刺激は自律神経を調整し、免疫系の過剰な反応を集中効果があります。 特に、アレルギー反応に関与するIgE抗体の阻害や、抗炎症作用のある副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の分泌促進が期待されます。
  2. 鼻づまりの緩和
    血流を促進し、鼻粘膜の腫れや炎症を軽減することで鼻づまりを緩和します。 特に、顔面部の経穴(ツボ)である「迎香」「印堂」などへの施術が有効とされています。
  3. 自律神経のバランス調整
    花粉症は、自律神経の乱れによって症状が起こることがございます。鍼施術は交感神経と副交感神経のバランスを整え、過敏なアレルギー反応を抑制します。
  4. ストレス軽減と抗炎症効果
    ストレスはアレルギー症状を悪化させる要因の一つです。鍼施術によりセロトニンやエンドルフィンの分泌が促進され、リラックス効果が得られます。また、炎症を抑制する効果も期待できます。

鍼施術のメカニズム

鍼施術のメカニズムについて、東洋医学と現代医学の両方の観点から説明します。

1. 東洋医学の考え方
東洋医学では、花粉症は「肺」「脾」「腎」の機能低下や「気」「血」「水」の流れの滞りが原因と考えられています。
「肺」「脾」「腎」の働きを改善し、「気」「血」「水」の巡りを促すことで全身のバランスを整えます。

2. 現代医学の作用機序
鍼刺激は、神経・血管・免疫系に作用し、以下のような生理的な反応を引き出します。

  • 迷走神経刺激 副交感神経が活性化し、炎症反応が抑制される。
  • β-エンドルフィンの分泌 鎮痛・抗ストレス作用が発揮される。
  • 血流改善 鼻粘膜の腫れが軽減し、鼻づまりが解消される。

まとめ

鍼施術は、免疫調整、血流改善、自律神経のバランス調整などの効果があり、花粉症の症状を軽減する可能性があります。
特に、薬の副作用で眠たくなると困る方や、薬の服用や管理が難しい幼児や児童にお勧めします。
鍼施術は副作用が少なく、長期的な体質改善を目指すことができる点がメリットです。
施術効果には個人差があるため、専門的な知識と経験を有する鍼灸師と相談しながら継続的な施術を受けることが推奨されます。

こちらもどうぞ!

  1. 産後のむくみ5つの対策【前編】

  2. 花粉症を改善する鍼施術として、耳介療法(耳鍼)をお勧めします…

  3. 概要 背景 夜泣きは、夜間、特定の時間帯に、あるいは一晩中、断続的あるいは継続的に子どもが泣いたり騒いだりする一般的な状態である。小児の睡眠障害としては一般的であり,親からの医療的援助が強く求められるが,夜泣きに対する非薬物療法の一つとして小児鍼治療がある。本総説は、夜泣きに対する小児鍼の有効性と安全性に関する文献をレビューすることを目的とした。 方法 は以下の通り。文献検索は,PubMed,Cochrane Controlled Register of Trials(CENTRAL),Allied and Complementary Medicine Database(AMED),中国国家知識基盤データベース(CNKI),万芳データベース,中国科学技術雑誌データベース(VIP),OASIS,研究情報サービスシステム(RISS),National Digital Science Library(NDSL)で開始日のわかるものから2020年12月28日時点まで実施した。2名のレビュー著者は、検索で得られたすべての関連論文のタイトルと抄録を独立にスクリーニングし、適格な論文を選択した。症例報告や事例研究を含む、夜泣きに対する鍼灸治療に関する臨床研究のすべての変種を適格とした。データは、標準的なデータ抽出フォームを使用して、2人のレビュー著者が独立して抽出した。抽出されたデータは表形式で示され、叙述的に考察されている。 結果 は以下の通り。病院の外来から募集した小児2,324人をサンプルサイズとする12件の研究(ケースシリーズ10件、ケースレポート2件)を対象とした。すべての研究が中国本土で実施され、唯一の介入として鍼治療が行われた。主要評価項目である夜泣きに対する鍼治療の有効率は,9つの研究で100%,1つの研究で95%,別の研究で94%,残りの研究で86%と報告された。副次的アウトカムについては,1つの研究では再発率が14%であったが,別の研究では治療後の再発率が11%であったと報告されている。ほとんどの研究で追跡調査は行われていない。どの研究でも有害事象の可能性は報告されていない。ほとんどの子供が1回の治療で回復した。一般的に最も多く選択されたツボはEM30四缝とPC9中衝のツボであった。 結論 本総説 は、小児鍼が夜泣きに対して有効な治療法である可能性を示唆し、さらに検討する価値があると思われる。

    夜泣きに対する小児はりの効果!論文読んでみた

  4. 4月は要注意!子どもの登園ぐずり、原因と対策、小児はりが効果…

  5. 産後のむくみ5つの対策【後編】

  6. 四十肩、五十肩のツボに関する画像

    四十肩・五十肩に効くツボはどこだ?

PAGE TOP