BPS(生物 心理 社会)モデルは、患者様の痛みを単なる身体的な問題として捉えるのではなく、生物学的、心理的、社会的な側面が相互に作用し、痛みを形成しているという考えに基づいています。
今回のブログでは、だいゆうどう鍼灸院・接骨院が目指すBPS(生物 心理 社会)モデルについて解説してゆきます。
生物学的側面 (Biological)
この側面では、患者様の身体的な状態に焦点を当てます。
- 詳細な問診と検査 痛みのある部位だけでなく、全身のバランスや姿勢を評価し、痛みの根本原因を探ります。
- 個別化された施術 鍼灸、接骨の手技、ゆらし療法、骨盤矯正などの整体施術を用いて、筋肉の緊張を緩和し、関節の可動域を改善します。また、痛みの神経経路にアプローチすることで、痛みの閾値を高めることを目指します。
- セルフケアの指導 患者様ご自身が自宅でできるストレッチや筋力トレーニングを指導し、再発予防と自己回復力を高めます。施灸ツボ指導や骨盤ベルト着用アドバイスも含まれます。
心理学的側面 (Psychological)
痛みは、患者様の心の状態に大きく影響されます。不安やストレス、痛みの原因への理解不足は、痛みを増幅させることがあります。
- 安心感の提供 患者様のお話を丁寧に聞き、痛みのメカニズムを分かりやすく説明することで、不安を軽減し、施術へのモチベーションを高めます。
- ポジティブなマインドセットの醸成 痛みを「怖いもの」ではなく、「身体からのサイン」と捉えるよう促し、痛みに立ち向かう意欲を引き出します。
- リラクゼーション 鍼灸の持つリラックス効果を最大限に活用し、心身の緊張を和らげます。自律神経のバランスを整える全身調整施術も有効です。
痛みは、患者様の心の状態に大きく影響されます。不安やストレス、痛みの原因への理解不足は、痛みを増幅させることがあります。
社会的側面 (Social)
患者様の痛みや不調の背景には、生活習慣、仕事、人間関係などが複雑に絡み合っています。
- 生活環境のヒアリング どのような仕事をしているか、趣味や運動習慣、家族構成などをヒアリングし、痛みの原因となりうる社会的要因を特定します。
- 職場や家庭でのアドバイス デスクワークが多い患者様には、正しい姿勢や休憩の取り方を提案するなど、日常生活での負担を減らす具体的なアドバイスを提供します。
- 医療連携 必要に応じて、医療機関(整形外科、ペインクリニック、頭痛外来、心療内科など)や専門家との連携を提案し、包括的なサポート体制を構築します。
BPSモデルに基づく施術の展開
この3つの側面を統合し、患者様一人ひとりの物語(ナラティブ)を尊重した施術を実践します。単に痛みを「取り除く」だけでなく、患者様が自律的に健康な生活を送れるようサポートすることを目指します。
例えば、肉離れに悩むスポーツ愛好家の方がゆらし療法を選択された場合、以下のようになります。
生物学的側面 (Biological)
- 詳細な評価と施術 痛みの原因となる筋肉だけでなく、その動きをサポートする拮抗筋や周辺筋の緊張をゆらし療法で優しく解放します。強い刺激を避けることで、筋肉の防御反応を引き起こさずに深部の緊張を緩和し、自然治癒力を最大限に引き出します。
- 血行促進と組織修復 揺れによる心地よい刺激は、自律神経を整え、血流を促進します。これにより、損傷部位への栄養供給がスムーズになり、老廃物の排出を促すことで、組織の修復を早めます。
- 段階的な機能回復 ゆらし療法で筋緊張が緩和した後に、再発を防ぐためのセルフケア(自己療法)を指導します。安全な範囲でのストレッチや軽負荷の運動を取り入れ、徐々に筋力と柔軟性を回復させ、完全な機能回復を目指します。
心理学的側面 (Psychological)
- 恐怖心の克服 痛みや再発に対する患者さんの不安に寄り添い、ゆらし療法のメカニズムを丁寧に説明します。強い痛みを伴わない優しい施術は、患者様が安心して身体を任せることを可能にし、再発への恐怖(キネシオフォビア)を和らげます。
- 施術へのモチベーション向上 ゆらし療法による痛みの軽減と身体の変化を患者様ご自身が実感することで、「自分の身体は治る」というポジティブなマインドセットを醸成します。これにより、施術やセルフケアへの主体性を引き出し、回復を加速させます。
- リラクゼーション効果 揺れのリズムが心身の緊張を解き放ち、深いリラックス状態へと導きます。怪我によるストレスを軽減し、心と体の両面から回復をサポートします。
社会的側面 (Social)
- 活動再開へのサポート 患者様のお仕事やスポーツ活動をヒアリングし、無理のない活動再開計画を立てます。ゆらし療法で身体のバランスを整えながら、段階的に運動量を増やし、安全かつスムーズな復帰を目指します。
- 環境と生活習慣の調整 肉離れの原因となりうる不適切なフォームや、過度な練習、生活習慣などについてアドバイスを提供します。必要であれば、練習環境や用具の見直しを提案し、再発リスクを根本から減らします。
- 医療連携 重症度や目標に応じて、整形外科医など他の専門家との連携を提案します。包括的なサポート体制を構築することで、患者様の「健康な人生への支援」を実現します。